土
■■■ 土 ■■■
<土について>
野菜を作る上で最も重要な要素は土です。
同じように育てても土の良し悪しで収量・品質その他に大きな差が出ます。
野菜作りを成功させるためには土を理解することが一番の近道。
そこで今回は土についてのあれこれ。
●土質
土質は土の粒子の状態により
砂壌土(すなじょうど) > 壌土(じょうど) > 植壌土(しょくじょうど)
に分類され、粒子の大きいさらさらと砂っぽいのが砂壌土、粒子が細かく粘土っぽいのが植壌土です。
野菜作りに最も適しているのは壌土で、握ると固まるけど押せば崩れる絶妙な土具合で野菜全般に応用可能。
家庭菜園の土作りで目指したいのはこの壌土の状態です。
それぞれの特徴は以下の通り。
砂壌土:保水性・保肥性が悪い、排水性・通気性が良い。
水やりが多く必要、雨・水やりで養分が流されやすい。
植壌土:保水性・保肥性が良い、排水性・通気性が悪い。
根腐れしやすい、雨が降るとぬかるんでぐちゃぐちゃ。
壌土:砂壌土と植壌土の中間の性質で、周りの人がうらやむ土w
壌土を目指すには土壌改良資材を入れて土質を改善するのが近道。
堆肥、パーライト、籾殻燻炭、腐葉土、鹿沼土、ピートモスなどなど用途に応じていろんな種類の物がホームセンターで売ってます。
また、野菜によっては砂壌土を好んだり植壌土を好む物があるので、逆の発想で土質にあった野菜を選ぶってのも手ですね。
[砂壌土向きの野菜]
ジャガイモ、ニンジン、さつまいも、生姜など
[植壌土向きの野菜]
ニンニク、タマネギ、里芋など
●土の構造
誰が見ても野菜に良さそうだなーと思うふかふかの土ってありますよね。
あれは土の構造が「団粒構造」(だんりゅうこうぞう)になってる土です。
土ってのは高い倍率で見ていくと、岩石や鉱物などの小さな粒子で構成されてます。
この粒子が微生物の出す粘着性のある物質などで団子状に固まり、それが集まることで土を形成しています。
この時の団子が小さく、団子同士が密集するため土の中に隙間が無いのが「単粒構造」(たんりゅうこうぞう)。
団子が大きく団子と団子の間に隙間を保たれるのが団粒構造です。
土の中に隙間があるため排水性や通気性が良く、しかも肥料持ちの良いふかふかの団粒構造。
土作りではこの団粒構造を目指したいところです。
ではそんな団粒構造の土にするにはどうしたらいいのか?
微生物や腐植(有機物が分解された物)によって団粒が作られるので、それを補ってやればいい。
つまり堆肥や腐葉土を入れてやればいいんですね。
堆肥が土作りの基本と言われるのはこのためです。
ちなみにせっかく団粒構造の土になっても雨降り直後などに耕耘機をかけてしまうと単粒化してしまいます。
●良い土の条件
壌土、団粒構造が良いという土の基本が判った所でもう少し細かい条件を見てみましょう。
畑の土として好まれる条件は、
・保水性が良い
・排水性が良い
・通気性が良い
・保肥性が良い
・肥えている
・柔らかい
・有用微生物が豊富
・酸度が適当
・清潔
って感じでしょうか。
こんな条件の良い土があったら分けてほしいものです。
保水性、保肥性、肥えているの条件は判りやすいですね。
充分な肥料分があり、野菜に必要な水と肥料をしっかり蓄えることができる土。
根が生育するためには空気も必要なので通気性も重要。
また根がずっと水に浸かった状態では根腐れをおこしてしまうので排水性も必要です。
柔らかい土の方が根が張りやすく、病気の原因菌や害虫がいない清潔な土の方が良いのも当然。
そして有用微生物が豊富ってことは団粒化を促進し有機物の分解も進むのでこれも大事。
酸度については「酸性度」のコーナーで詳しく語ります。
ここで疑問に思う人がいるかもしれない点が保水性と排水性。
良い土ってのは保水性と排水性がいい土だってことはよく耳にすると思いますが、このセットにされた2つの要素はどう両立するんでしょう?
僕も最初の頃これに首をかしげてました。
答えは上に書いた団粒構造にあるんですね。
団粒構造化することで土に隙間ができて排水性が良くなり、かつ団子の中で水分をしっかり保持するってこと。
素晴らしき哉、団粒構造。
●土作り
では実際土作りはどうしたらいいのか。
家庭菜園でもできることを簡単にまとめると以下の通り。
1.まずは予算と相談で土壌改良資材を入れる。
特に堆肥は野菜を作る季節の前に毎回。
2年以上野菜を作る予定が無い土地なら生の籾殻を大量に鋤込むのもお勧めです。
生籾殻は分解に時間がかかりその間は野菜の根に良くないので、すぐに野菜を作る予定の土地へはお勧めできません。

うちの畑では牛糞堆肥・籾殻堆肥・米糠・籾殻燻炭・腐葉土の5種類を春作と秋作前の毎年2回投入しています。
春は全面に、秋は春秋通年栽培している以外の畝単位で。
籾殻堆肥・籾殻燻炭・腐葉土は自作。
牛糞堆肥は近場の牛舎から貰える時に無料で、米糠はコイン精米機を回って集めてます。
頑張ればお金かけなくても対処は可能!
2.よく耕す。
土の塊が出来ないよう細かく深く耕す。
深い所まで酸素を送り込んでやりましょう。
耕すタイミングは土に適度な水分があり乾きすぎず湿りすぎずの状態。
雨が降った直後の耕耘は団粒構造を壊してしまうので厳禁です。

3.天地返しをする。
土を深く掘り起こし上の方の土と下の方の土を入れ替えること。
野菜を作ることが少ない冬場に行います。
掘った土は塊のまま放置で構いません。
寒さで凍ってそれが溶ける時にぼろぼろと崩れて細かくなっていきます。
目に見えて土がほぐれていくので観察してると楽しいです。
土をほぐすとともに寒さで土の中の病害虫も死んでくれます。
4.ミミズを増やす。
ミミズは良い土のバロメーター。
ミミズの分泌物によって土が団粒化されるし、土の中を掘り進むので通気性が良くなり土も柔らかくなります。
ミミズを増やしたかったら米糠をたまに鋤込んでやってください。
ただし最初からミミズが逃げ出すような土ではダメですけどね。
多少なりともミミズがいるなら米糠をたまに撒いておくと、1年後にはミミズが増えてるのを実感できると思います。
ミミズは雌雄同体の生き物で最低2匹はいないと効果ありません。
多少いる状態で米糠を撒いておけば、春に卵からかえった赤ちゃんミミズをたくさん見られると思います。
5.野菜を作る。
そのために土作り調べてるんだろうがこら!と思うかもしれませんが、土が悪くても野菜を作ってください。
条件の悪い土でも野菜を作っていれば自然と畑の土に近付いてきます。
個人的にはジャガイモをお勧め。
騙されたと思って上の4項目を守りつつ1年野菜を作ってみてください。
きっと土の変化を実感できると思います。
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<土について>
野菜を作る上で最も重要な要素は土です。
同じように育てても土の良し悪しで収量・品質その他に大きな差が出ます。
野菜作りを成功させるためには土を理解することが一番の近道。
そこで今回は土についてのあれこれ。
●土質
土質は土の粒子の状態により
砂壌土(すなじょうど) > 壌土(じょうど) > 植壌土(しょくじょうど)
に分類され、粒子の大きいさらさらと砂っぽいのが砂壌土、粒子が細かく粘土っぽいのが植壌土です。
野菜作りに最も適しているのは壌土で、握ると固まるけど押せば崩れる絶妙な土具合で野菜全般に応用可能。
家庭菜園の土作りで目指したいのはこの壌土の状態です。
それぞれの特徴は以下の通り。
砂壌土:保水性・保肥性が悪い、排水性・通気性が良い。
水やりが多く必要、雨・水やりで養分が流されやすい。
植壌土:保水性・保肥性が良い、排水性・通気性が悪い。
根腐れしやすい、雨が降るとぬかるんでぐちゃぐちゃ。
壌土:砂壌土と植壌土の中間の性質で、周りの人がうらやむ土w
壌土を目指すには土壌改良資材を入れて土質を改善するのが近道。
堆肥、パーライト、籾殻燻炭、腐葉土、鹿沼土、ピートモスなどなど用途に応じていろんな種類の物がホームセンターで売ってます。
また、野菜によっては砂壌土を好んだり植壌土を好む物があるので、逆の発想で土質にあった野菜を選ぶってのも手ですね。
[砂壌土向きの野菜]
ジャガイモ、ニンジン、さつまいも、生姜など
[植壌土向きの野菜]
ニンニク、タマネギ、里芋など
●土の構造
誰が見ても野菜に良さそうだなーと思うふかふかの土ってありますよね。
あれは土の構造が「団粒構造」(だんりゅうこうぞう)になってる土です。
土ってのは高い倍率で見ていくと、岩石や鉱物などの小さな粒子で構成されてます。
この粒子が微生物の出す粘着性のある物質などで団子状に固まり、それが集まることで土を形成しています。
この時の団子が小さく、団子同士が密集するため土の中に隙間が無いのが「単粒構造」(たんりゅうこうぞう)。
団子が大きく団子と団子の間に隙間を保たれるのが団粒構造です。
土の中に隙間があるため排水性や通気性が良く、しかも肥料持ちの良いふかふかの団粒構造。
土作りではこの団粒構造を目指したいところです。
ではそんな団粒構造の土にするにはどうしたらいいのか?
微生物や腐植(有機物が分解された物)によって団粒が作られるので、それを補ってやればいい。
つまり堆肥や腐葉土を入れてやればいいんですね。
堆肥が土作りの基本と言われるのはこのためです。
ちなみにせっかく団粒構造の土になっても雨降り直後などに耕耘機をかけてしまうと単粒化してしまいます。
●良い土の条件
壌土、団粒構造が良いという土の基本が判った所でもう少し細かい条件を見てみましょう。
畑の土として好まれる条件は、
・保水性が良い
・排水性が良い
・通気性が良い
・保肥性が良い
・肥えている
・柔らかい
・有用微生物が豊富
・酸度が適当
・清潔
って感じでしょうか。
こんな条件の良い土があったら分けてほしいものです。
保水性、保肥性、肥えているの条件は判りやすいですね。
充分な肥料分があり、野菜に必要な水と肥料をしっかり蓄えることができる土。
根が生育するためには空気も必要なので通気性も重要。
また根がずっと水に浸かった状態では根腐れをおこしてしまうので排水性も必要です。
柔らかい土の方が根が張りやすく、病気の原因菌や害虫がいない清潔な土の方が良いのも当然。
そして有用微生物が豊富ってことは団粒化を促進し有機物の分解も進むのでこれも大事。
酸度については「酸性度」のコーナーで詳しく語ります。
ここで疑問に思う人がいるかもしれない点が保水性と排水性。
良い土ってのは保水性と排水性がいい土だってことはよく耳にすると思いますが、このセットにされた2つの要素はどう両立するんでしょう?
僕も最初の頃これに首をかしげてました。
答えは上に書いた団粒構造にあるんですね。
団粒構造化することで土に隙間ができて排水性が良くなり、かつ団子の中で水分をしっかり保持するってこと。
素晴らしき哉、団粒構造。
●土作り
では実際土作りはどうしたらいいのか。
家庭菜園でもできることを簡単にまとめると以下の通り。
1.まずは予算と相談で土壌改良資材を入れる。
特に堆肥は野菜を作る季節の前に毎回。
2年以上野菜を作る予定が無い土地なら生の籾殻を大量に鋤込むのもお勧めです。
生籾殻は分解に時間がかかりその間は野菜の根に良くないので、すぐに野菜を作る予定の土地へはお勧めできません。

うちの畑では牛糞堆肥・籾殻堆肥・米糠・籾殻燻炭・腐葉土の5種類を春作と秋作前の毎年2回投入しています。
春は全面に、秋は春秋通年栽培している以外の畝単位で。
籾殻堆肥・籾殻燻炭・腐葉土は自作。
牛糞堆肥は近場の牛舎から貰える時に無料で、米糠はコイン精米機を回って集めてます。
頑張ればお金かけなくても対処は可能!
2.よく耕す。
土の塊が出来ないよう細かく深く耕す。
深い所まで酸素を送り込んでやりましょう。
耕すタイミングは土に適度な水分があり乾きすぎず湿りすぎずの状態。
雨が降った直後の耕耘は団粒構造を壊してしまうので厳禁です。

3.天地返しをする。
土を深く掘り起こし上の方の土と下の方の土を入れ替えること。
野菜を作ることが少ない冬場に行います。
掘った土は塊のまま放置で構いません。
寒さで凍ってそれが溶ける時にぼろぼろと崩れて細かくなっていきます。
目に見えて土がほぐれていくので観察してると楽しいです。
土をほぐすとともに寒さで土の中の病害虫も死んでくれます。
4.ミミズを増やす。
ミミズは良い土のバロメーター。
ミミズの分泌物によって土が団粒化されるし、土の中を掘り進むので通気性が良くなり土も柔らかくなります。
ミミズを増やしたかったら米糠をたまに鋤込んでやってください。
ただし最初からミミズが逃げ出すような土ではダメですけどね。
多少なりともミミズがいるなら米糠をたまに撒いておくと、1年後にはミミズが増えてるのを実感できると思います。
ミミズは雌雄同体の生き物で最低2匹はいないと効果ありません。
多少いる状態で米糠を撒いておけば、春に卵からかえった赤ちゃんミミズをたくさん見られると思います。
5.野菜を作る。
そのために土作り調べてるんだろうがこら!と思うかもしれませんが、土が悪くても野菜を作ってください。
条件の悪い土でも野菜を作っていれば自然と畑の土に近付いてきます。
個人的にはジャガイモをお勧め。
騙されたと思って上の4項目を守りつつ1年野菜を作ってみてください。
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コメントの投稿
勉強になりました
大変ためになりました。
2ヶ月前から畑をかりてはじめましたが、前は何も無かった所です。
硬い地盤の上に赤土が20センチ位ひいてありました。とても栄養があるようにはみえません。
何とか頑張ってみようと思います。
2ヶ月前から畑をかりてはじめましたが、前は何も無かった所です。
硬い地盤の上に赤土が20センチ位ひいてありました。とても栄養があるようにはみえません。
何とか頑張ってみようと思います。
No title
>>くまたんさん
20cmだと大根やニンジンなどの根菜が大変そうですね。
うちも昔は耕土が浅く何度か失敗しました。
赤土は雨が降ったりするとべちゃべちゃになって大変ですけど、堆肥などの有機物を入れて土作りしていけば充分栽培可能だと思いますよ。
まずは浅くても作れる野菜から頑張ってみてください。
20cmだと大根やニンジンなどの根菜が大変そうですね。
うちも昔は耕土が浅く何度か失敗しました。
赤土は雨が降ったりするとべちゃべちゃになって大変ですけど、堆肥などの有機物を入れて土作りしていけば充分栽培可能だと思いますよ。
まずは浅くても作れる野菜から頑張ってみてください。