椎茸の育て方
■■■ 椎茸の育て方 ■■■
<野菜別栽培方法:椎茸>
※中部地方太平洋側(夏:暖地 冬:中間地)基準です。


<野菜科目> 茸類
<参考価格> 種駒100個300円前後
<栽培適温> 5~15℃
正確には菌類なので野菜とは違いますが、スーパーでは野菜と同じ扱いされてる茸。
家庭で栽培可能なので家庭菜園向け野菜の一つとして紹介します。
スーパーで買う椎茸とは別格の本物の味を楽しめるので是非挑戦してみてください。
育て方は主に「原木栽培」と「菌床栽培」の2種類あり、ここで紹介するのは本格的な椎茸を楽しめる原木栽培です。
山の中で丸太を並べてある一般的なイメージの育て方。
ほだ木1本辺りの収量は1シーズンで10個前後と少なめなので、干し椎茸にして保存まで考えるのであれば多めに必要です。


土を使って育てる野菜とは違うので連作障害の概念はありません。
「ほだ木」と呼ばれる木の幹や枝を90cm程度の長さに切った原木を使います。
椎茸に向いているのはクヌギやコナラ等どんぐりの木で直径10~20cmがベスト。
近くに伐採できる木が無く自力入手が難しければホームセンターで購入することもできます。
1本400~500円ほど。
ほだ木の寿命は直径により変わり、細い物で収穫開始から2年、太い物で5年保つ物もあります。
自分で木を切り出す場合は時期にも注意が必要。
秋に葉が落ちて以降、冬の間に伐採し一ヶ月ほど置いてからほだ木にします。
ちなみに切り倒した木をほだ木として切る作業を「玉切り」と言います。
椎茸菌は水分量35%程度のほだ木が理想で、生木の状態だと活着しません。
玉切り後1~2週間ほど日陰に置いて(直射日光厳禁)、木口にひび割れが出る頃に植菌しましょう。

前述の通り土は必要無いので土作りは不要。
代わりに栽培できる場所を用意する必要があります。
理想はある程度開けた山の中、適度に風が通りジメジメとはしてないが草などが生えて適度な湿度を保っている場所。
雨が当たり、直射日光は当たらないが木漏れ日が当たるぐらいの明るめの環境です。

木陰が用意できなければ人工的に環境を作ってやることでも栽培可能です。
ねっこの畑では遮光ネットで小部屋を作って育てています。
雑草を嫌って防草シートを敷いてあるため乾燥気味になるのが弱点ですが。
陽射しと湿度に気を付ければ家の影やマンションのベランダなどで育てることも可能。
1年を通じて直射日光だけは当てないようにしてください。


<植菌時期> 1月下旬~3月中旬
<間隔> 下の図を参照
水分量を調整したほだ木が用意できたらいよいよ椎茸菌を打ち込む植菌作業です。
1月から遅くとも3月後半までには終わらせてください。
秋過ぎから園芸店やホームセンターで椎茸菌を付けた種駒が売り出されます。
おがくずを使ったタイプもありますが最初は種駒タイプがいいでしょう。

種駒を植える位置は図の通り。
厳密な数値ではなく大体の目安でこんな感じにぐるっと一周打ってあれば大丈夫です。
もっと数を減らしてもそうそう失敗することは無いですよ。
椎茸菌は図の横方向には伸びやすいけど縦方向にはあまり伸びません。
そのため列間は4~5cm程度と短くするのがポイントです。
節がある部分には追加で打っておくとさらに良いかも。
種駒を打つ際にはまず電動ドリルで図の位置に穴を開けます。
電動ドリル(またはインパクトドライバー)を持ってない方でもホームセンターに行けば300円ぐらいでレンタルしてると思います。
種駒の直径はメーカーによって異なるので注意してください。
ねっこが使っている8.5mmの他、9.2mmの物もよく見かけます。

ドリルは種駒指定の径さえ合っていれば通常の木工用ドリルで構いませんが、上のような椎茸植菌用のビットも一緒に売られています。
これを使うと深さも種駒に適した一定の深さに揃うのでお勧め。
種駒と同じ深さではなく少し深めにするのがポイントです。

穴を開けたら種駒を打ち込みます。
尖った形の方を下にして木槌で打ち込み。
この時も種駒に直射日光が当たらないように注意してください。

打ち込む深さは駒の断面とほだ木の表面が同じ高さになる所まで。
浅くて出っ張るのも、深くて窪んでしまうのもあまり良くありません。
種駒を適切に打ち込んだ時に内部に少し空間ができる深さが理想です。
打ち込む際に種駒表面の白い菌が剥がれてしまうこともありますが気にせずガシガシ打ち込んでいきましょう。

おまけでこれはねっこが使っている植菌台。
そこらで伐採した枝を組み合わせて作りました。
ほだ木の数が増えると結構な作業量で腰も痛くなります。
植菌台を作って台の上でほだ木を回転させながら作業すると効率上がりますよ。

茸はほだ木自体を養分として育つので肥料は必要ありません。
重要なのは水分管理だけ。
時期により必要な水分量は異なってきます。
まず最初、菌打ちした直後のほだ木には多湿な環境が必要になります。
そこで行うのが「仮伏せ」。

ほだ木の乾燥を防ぎ椎茸菌を活着させるための作業です。
植菌後すぐ、4月中旬頃まで仮伏せをしてください。
直接土に付かないよう下にブロックなどを挟んでほだ木を重ねておきます。
断面に土が付くと雑菌が広がってしまうので注意。
ほだ木を並べたらしっかり水を撒き、遮光ネットをかけて日除けと乾燥防止をします。
寒い時期ならビニールで保温しますがある程度空気は通るように。

数日置きに水撒きし、4月中旬頃暖かくなってきたら仮伏せ終了。
種駒を打ったところに白く菌が広がっているはずです。
仮伏せばどんなに遅くとも梅雨前には終了して次項の「本伏せ」をしてください。
暖かくなって過湿状態が続くと害菌が蔓延します。


・本伏せ
仮伏せが終わったらいよいよ本伏せ。
写真のようにほだ木を立て掛けます。
プロの場合はほだ木の状態に合わせて何段階か間の作業もあるようですが、家庭菜園ならいきなりこの状態にしちゃって問題ありません。
乾燥気味のところは角度を小さく、過湿気味のところは角度を大きくして立て掛けます。
条件は最初に述べたように、適度に通風があり直射日光が当たらず木漏れ日程度の明るさの場所。
基本雨任せだが、収穫が始まる2年目の秋までは乾燥するようなら数日置きに散水します。
暑さにも弱いため夏場はできるだけ涼しくなる場所で。

・天地返し
本伏せ期間中、3ヶ月に1度の割合で天地返しをします。
ほだ木の上下と表裏をひっくり返す作業。
こうすることで椎茸菌が全体に万遍なく広がるようにします。
天地返しをした際にほだ木断面が白くなっていることがあります(上の写真)。
これは椎茸菌が木口まで出てきた証拠で栽培が順調に進んでいる証。

・浸水
収穫シーズンが近付いたら行う作業。
ほだ木を水に一晩浸けて内部まで水をしっかりと吸わせます。
浸水せずに雨任せでも椎茸は出てきますが収量アップには浸水が効果的。
大きい桶が無ければ下のような枠を作ってブルーシートを敷くと簡易桶にできます。
浸水後も散水を増やして湿度を高めにします。



<収穫時期> 3月と11月頃
椎茸の発生は2回夏を越した秋からで植菌後2年弱かかります。
時間かかって待ち遠しいけどぐっと我慢しましょう。
基本は春と秋の2回収穫だが品種によって変わります。
一度発生が始まればほだ木が朽ちるまで春と秋の毎シーズン収穫できます。
秋の場合で最低気温が10℃を下回るようになる頃から発生。
適度な気温と湿度が揃うと一気に育つので、特に雨の降った後に発生が増えます。
傘が開いて椎茸の形になってきた物から順次収穫しましょう。
収穫時、傘裏のひだ部分に触れると傷むのが早まるのでご注意を。

椎茸は刺激を受けるとたくさん発生すると言われています。
山に雷が落ちると椎茸が豊作になるという話もそのためでしょうか?
データを取った訳ではないので真偽のほどは判りませんが、収穫期にほだ木を転がしたりハンマーで叩いたりして刺激を与えるのも一つの手ですね。
ねっこも毎回ゴムハンマーで叩くようにしています。
↓芽が出始めたところ。

椎茸は収穫するタイミングにより呼び名が変わります。
傘が開ききらず丸みがある状態を「冬菇(どんこ)」と言い、肉厚な歯ごたえを楽しめます。
傘が開ききった物は「香信(こうしん)」と呼ばれ、スライスして使いやすく干し椎茸にも向いています。
冬菇と香信の中間の物は「香茹(こうこ)」。
傘の開き具合の差だけですが、椎茸的には香信が完熟した状態とのこと。

傘の開き具合以外にもう1つ、見た目で区別されることもあります。
上の写真は普通に育った椎茸。
湿度と温度が充分にあり早めに育つとこうなります。
そして下が「花どんこ」と呼ばれる椎茸。
乾燥気味にゆっくり育つと傘にひび割れの模様が入ります。
同じ品種の物ですが花どんこの方が高級品として扱われるようです。



・干し椎茸
収穫した椎茸は水分が多く、生椎茸の状態だとあまり日持ちしません。
そこで長期保存するためには干し椎茸にするのがお勧め。
ざるに並べてひたすら天日干しし、カチカチになるまで乾燥させたら乾燥剤と一緒に瓶などで保存するだけです。
椎茸を収穫できる期間は短いので有効活用してください。
市販品は機械乾燥されてますが家庭では一週間ぐらいかけて天日乾燥しかありません。
冬場なら夜間はファンヒーターの前に置いたりとか。
肉厚で大きいどんこ椎茸は乾燥しにくいため、あらかじめスライスするのも手。
暖かい時期の物は虫が入ったり卵を産み付けられていたりして保存中にやられてしまうこともありますのでご注意を。
秋採りの終わり際、または春採りの早めの物がおすすめです。

・原木栽培法あれこれ
今回紹介した栽培法は90~100cmぐらいのほだ木を使う普通原木栽培法です。
この他にもいくつか育て方があり、上の写真は太い丸太を20cmほどに切った短木栽培法。
断面から発生させることをメインとしてヒラタケなどに向いています。
切り倒した何メートルもある木をそのまま使う長木栽培法や、切り株を使って育てる伐根栽培法などもあり。

・菌床栽培
原木栽培に対してもう1つの育て方が菌床栽培。
おかくずなどを固めて人工的に作ったブロックや瓶などから茸を発生させる育て方です。
スーパーで安く売っている生椎茸はほとんどが菌床栽培物。
管理しやすく短期間で大量生産が可能ですが、やはり味・香り・歯ごたえ共に原木栽培にはかないません。
最近はホームセンターで菌床栽培キットも売られているので(上の写真)、原木栽培するスペースを確保できない方はこちらを試してみてはいかがでしょうか。

<害虫>
注意したいのはナメクジ、トビムシ、キノコムシ。
小さな甲虫であるキノコムシとナメクジによる食害が多いです。
→ 害虫図鑑へ
<害菌>
野菜では病気ですが椎茸の場合は害菌。
椎茸菌以外の菌がほだ木に蔓延し椎茸の発生を阻害します。
環境が悪いと様々な種類の害菌が発生し、中には椎茸菌を完全に駆逐してしまう物もあります。

・クロコブタケ
伐採が遅れた木や、植菌前のほだ木乾燥が充分でなく生木に近い状態だと発生しやすい。
このほだ木は3月中旬に伐採された木を急遽いただいた物なので乾燥時間を充分に取れませんでした。
硬質ゴムのように固く黒いコブが発生する。
椎茸菌を殺したりはしないが、椎茸菌の広がりを阻害する害菌。

・スエヒロタケ
5mm~1cm程度の小さな白い茸がびっしりと生える害菌。
陽当たりが強く乾燥した環境で発生。
スエヒロタケが見えたら影を増やして散水し、椎茸菌が早く広がる環境を作ること。
※あくまでねっこ流の育て方です。
プロ農家ではないので間違ってても笑って許してね!
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<野菜別栽培方法:椎茸>
※中部地方太平洋側(夏:暖地 冬:中間地)基準です。



<参考価格> 種駒100個300円前後
<栽培適温> 5~15℃
正確には菌類なので野菜とは違いますが、スーパーでは野菜と同じ扱いされてる茸。
家庭で栽培可能なので家庭菜園向け野菜の一つとして紹介します。
スーパーで買う椎茸とは別格の本物の味を楽しめるので是非挑戦してみてください。
育て方は主に「原木栽培」と「菌床栽培」の2種類あり、ここで紹介するのは本格的な椎茸を楽しめる原木栽培です。
山の中で丸太を並べてある一般的なイメージの育て方。
ほだ木1本辺りの収量は1シーズンで10個前後と少なめなので、干し椎茸にして保存まで考えるのであれば多めに必要です。


土を使って育てる野菜とは違うので連作障害の概念はありません。
「ほだ木」と呼ばれる木の幹や枝を90cm程度の長さに切った原木を使います。
椎茸に向いているのはクヌギやコナラ等どんぐりの木で直径10~20cmがベスト。
近くに伐採できる木が無く自力入手が難しければホームセンターで購入することもできます。
1本400~500円ほど。
ほだ木の寿命は直径により変わり、細い物で収穫開始から2年、太い物で5年保つ物もあります。
自分で木を切り出す場合は時期にも注意が必要。
秋に葉が落ちて以降、冬の間に伐採し一ヶ月ほど置いてからほだ木にします。
ちなみに切り倒した木をほだ木として切る作業を「玉切り」と言います。
椎茸菌は水分量35%程度のほだ木が理想で、生木の状態だと活着しません。
玉切り後1~2週間ほど日陰に置いて(直射日光厳禁)、木口にひび割れが出る頃に植菌しましょう。

前述の通り土は必要無いので土作りは不要。
代わりに栽培できる場所を用意する必要があります。
理想はある程度開けた山の中、適度に風が通りジメジメとはしてないが草などが生えて適度な湿度を保っている場所。
雨が当たり、直射日光は当たらないが木漏れ日が当たるぐらいの明るめの環境です。

木陰が用意できなければ人工的に環境を作ってやることでも栽培可能です。
ねっこの畑では遮光ネットで小部屋を作って育てています。
雑草を嫌って防草シートを敷いてあるため乾燥気味になるのが弱点ですが。
陽射しと湿度に気を付ければ家の影やマンションのベランダなどで育てることも可能。
1年を通じて直射日光だけは当てないようにしてください。


<植菌時期> 1月下旬~3月中旬
<間隔> 下の図を参照
水分量を調整したほだ木が用意できたらいよいよ椎茸菌を打ち込む植菌作業です。
1月から遅くとも3月後半までには終わらせてください。
秋過ぎから園芸店やホームセンターで椎茸菌を付けた種駒が売り出されます。
おがくずを使ったタイプもありますが最初は種駒タイプがいいでしょう。

種駒を植える位置は図の通り。
厳密な数値ではなく大体の目安でこんな感じにぐるっと一周打ってあれば大丈夫です。
もっと数を減らしてもそうそう失敗することは無いですよ。
椎茸菌は図の横方向には伸びやすいけど縦方向にはあまり伸びません。
そのため列間は4~5cm程度と短くするのがポイントです。
節がある部分には追加で打っておくとさらに良いかも。
種駒を打つ際にはまず電動ドリルで図の位置に穴を開けます。
電動ドリル(またはインパクトドライバー)を持ってない方でもホームセンターに行けば300円ぐらいでレンタルしてると思います。
種駒の直径はメーカーによって異なるので注意してください。
ねっこが使っている8.5mmの他、9.2mmの物もよく見かけます。

ドリルは種駒指定の径さえ合っていれば通常の木工用ドリルで構いませんが、上のような椎茸植菌用のビットも一緒に売られています。
これを使うと深さも種駒に適した一定の深さに揃うのでお勧め。
種駒と同じ深さではなく少し深めにするのがポイントです。

穴を開けたら種駒を打ち込みます。
尖った形の方を下にして木槌で打ち込み。
この時も種駒に直射日光が当たらないように注意してください。

打ち込む深さは駒の断面とほだ木の表面が同じ高さになる所まで。
浅くて出っ張るのも、深くて窪んでしまうのもあまり良くありません。
種駒を適切に打ち込んだ時に内部に少し空間ができる深さが理想です。
打ち込む際に種駒表面の白い菌が剥がれてしまうこともありますが気にせずガシガシ打ち込んでいきましょう。

おまけでこれはねっこが使っている植菌台。
そこらで伐採した枝を組み合わせて作りました。
ほだ木の数が増えると結構な作業量で腰も痛くなります。
植菌台を作って台の上でほだ木を回転させながら作業すると効率上がりますよ。

茸はほだ木自体を養分として育つので肥料は必要ありません。
重要なのは水分管理だけ。
時期により必要な水分量は異なってきます。
まず最初、菌打ちした直後のほだ木には多湿な環境が必要になります。
そこで行うのが「仮伏せ」。

ほだ木の乾燥を防ぎ椎茸菌を活着させるための作業です。
植菌後すぐ、4月中旬頃まで仮伏せをしてください。
直接土に付かないよう下にブロックなどを挟んでほだ木を重ねておきます。
断面に土が付くと雑菌が広がってしまうので注意。
ほだ木を並べたらしっかり水を撒き、遮光ネットをかけて日除けと乾燥防止をします。
寒い時期ならビニールで保温しますがある程度空気は通るように。

数日置きに水撒きし、4月中旬頃暖かくなってきたら仮伏せ終了。
種駒を打ったところに白く菌が広がっているはずです。
仮伏せばどんなに遅くとも梅雨前には終了して次項の「本伏せ」をしてください。
暖かくなって過湿状態が続くと害菌が蔓延します。


・本伏せ
仮伏せが終わったらいよいよ本伏せ。
写真のようにほだ木を立て掛けます。
プロの場合はほだ木の状態に合わせて何段階か間の作業もあるようですが、家庭菜園ならいきなりこの状態にしちゃって問題ありません。
乾燥気味のところは角度を小さく、過湿気味のところは角度を大きくして立て掛けます。
条件は最初に述べたように、適度に通風があり直射日光が当たらず木漏れ日程度の明るさの場所。
基本雨任せだが、収穫が始まる2年目の秋までは乾燥するようなら数日置きに散水します。
暑さにも弱いため夏場はできるだけ涼しくなる場所で。

・天地返し
本伏せ期間中、3ヶ月に1度の割合で天地返しをします。
ほだ木の上下と表裏をひっくり返す作業。
こうすることで椎茸菌が全体に万遍なく広がるようにします。
天地返しをした際にほだ木断面が白くなっていることがあります(上の写真)。
これは椎茸菌が木口まで出てきた証拠で栽培が順調に進んでいる証。

・浸水
収穫シーズンが近付いたら行う作業。
ほだ木を水に一晩浸けて内部まで水をしっかりと吸わせます。
浸水せずに雨任せでも椎茸は出てきますが収量アップには浸水が効果的。
大きい桶が無ければ下のような枠を作ってブルーシートを敷くと簡易桶にできます。
浸水後も散水を増やして湿度を高めにします。



<収穫時期> 3月と11月頃
椎茸の発生は2回夏を越した秋からで植菌後2年弱かかります。
時間かかって待ち遠しいけどぐっと我慢しましょう。
基本は春と秋の2回収穫だが品種によって変わります。
一度発生が始まればほだ木が朽ちるまで春と秋の毎シーズン収穫できます。
秋の場合で最低気温が10℃を下回るようになる頃から発生。
適度な気温と湿度が揃うと一気に育つので、特に雨の降った後に発生が増えます。
傘が開いて椎茸の形になってきた物から順次収穫しましょう。
収穫時、傘裏のひだ部分に触れると傷むのが早まるのでご注意を。

椎茸は刺激を受けるとたくさん発生すると言われています。
山に雷が落ちると椎茸が豊作になるという話もそのためでしょうか?
データを取った訳ではないので真偽のほどは判りませんが、収穫期にほだ木を転がしたりハンマーで叩いたりして刺激を与えるのも一つの手ですね。
ねっこも毎回ゴムハンマーで叩くようにしています。
↓芽が出始めたところ。

椎茸は収穫するタイミングにより呼び名が変わります。
傘が開ききらず丸みがある状態を「冬菇(どんこ)」と言い、肉厚な歯ごたえを楽しめます。
傘が開ききった物は「香信(こうしん)」と呼ばれ、スライスして使いやすく干し椎茸にも向いています。
冬菇と香信の中間の物は「香茹(こうこ)」。
傘の開き具合の差だけですが、椎茸的には香信が完熟した状態とのこと。

傘の開き具合以外にもう1つ、見た目で区別されることもあります。
上の写真は普通に育った椎茸。
湿度と温度が充分にあり早めに育つとこうなります。
そして下が「花どんこ」と呼ばれる椎茸。
乾燥気味にゆっくり育つと傘にひび割れの模様が入ります。
同じ品種の物ですが花どんこの方が高級品として扱われるようです。



・干し椎茸
収穫した椎茸は水分が多く、生椎茸の状態だとあまり日持ちしません。
そこで長期保存するためには干し椎茸にするのがお勧め。
ざるに並べてひたすら天日干しし、カチカチになるまで乾燥させたら乾燥剤と一緒に瓶などで保存するだけです。
椎茸を収穫できる期間は短いので有効活用してください。
市販品は機械乾燥されてますが家庭では一週間ぐらいかけて天日乾燥しかありません。
冬場なら夜間はファンヒーターの前に置いたりとか。
肉厚で大きいどんこ椎茸は乾燥しにくいため、あらかじめスライスするのも手。
暖かい時期の物は虫が入ったり卵を産み付けられていたりして保存中にやられてしまうこともありますのでご注意を。
秋採りの終わり際、または春採りの早めの物がおすすめです。

・原木栽培法あれこれ
今回紹介した栽培法は90~100cmぐらいのほだ木を使う普通原木栽培法です。
この他にもいくつか育て方があり、上の写真は太い丸太を20cmほどに切った短木栽培法。
断面から発生させることをメインとしてヒラタケなどに向いています。
切り倒した何メートルもある木をそのまま使う長木栽培法や、切り株を使って育てる伐根栽培法などもあり。

・菌床栽培
原木栽培に対してもう1つの育て方が菌床栽培。
おかくずなどを固めて人工的に作ったブロックや瓶などから茸を発生させる育て方です。
スーパーで安く売っている生椎茸はほとんどが菌床栽培物。
管理しやすく短期間で大量生産が可能ですが、やはり味・香り・歯ごたえ共に原木栽培にはかないません。
最近はホームセンターで菌床栽培キットも売られているので(上の写真)、原木栽培するスペースを確保できない方はこちらを試してみてはいかがでしょうか。

<害虫>
注意したいのはナメクジ、トビムシ、キノコムシ。
小さな甲虫であるキノコムシとナメクジによる食害が多いです。
→ 害虫図鑑へ
<害菌>
野菜では病気ですが椎茸の場合は害菌。
椎茸菌以外の菌がほだ木に蔓延し椎茸の発生を阻害します。
環境が悪いと様々な種類の害菌が発生し、中には椎茸菌を完全に駆逐してしまう物もあります。

・クロコブタケ
伐採が遅れた木や、植菌前のほだ木乾燥が充分でなく生木に近い状態だと発生しやすい。
このほだ木は3月中旬に伐採された木を急遽いただいた物なので乾燥時間を充分に取れませんでした。
硬質ゴムのように固く黒いコブが発生する。
椎茸菌を殺したりはしないが、椎茸菌の広がりを阻害する害菌。

・スエヒロタケ
5mm~1cm程度の小さな白い茸がびっしりと生える害菌。
陽当たりが強く乾燥した環境で発生。
スエヒロタケが見えたら影を増やして散水し、椎茸菌が早く広がる環境を作ること。
※あくまでねっこ流の育て方です。
プロ農家ではないので間違ってても笑って許してね!
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